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隠岐・海士町で「しまとしょサミット」 島内外から来場者

事例報告を行う「アカデミック・リソース・ガイド」の岡本真さん

事例報告を行う「アカデミック・リソース・ガイド」の岡本真さん

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 隠岐・島前中ノ島の海士町中央図書館(海士町海士)に隣接した島民ホールで4月12日、「しまとしょサミット2015 in 海士町」が開催された。

懇親会では旬を迎えた「いわがき春香」に舌鼓

 「Library of the Year 2014」優秀賞の受賞で全国の関係者から注目を浴びる同図書館。この目で様子を見たいという機運の高まりから、図書館専門雑誌「LRG」を発行する「アカデミック・リソース・ガイド」(神奈川県横浜市)の岡本真さんが中心になって島を訪問するツアー企画を立案した。

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 立案を受け同図書館司書の磯谷奈緒子さんは、「離島の図書館について、また離島地域の情報環境について、広く意見を交わせるチャンス」とツアーの受け入れを快諾。あらかじめ参加者を募ったFacebookを通じて申し込んだ45人に加え、地元からの飛び入りを多数迎えたことから、当日は急きょ増席して対応した。

 開会宣言では、移動図書館や東日本大震災被災地での図書館支援活動を行う「シャンティ国際ボランティア会」から鎌倉幸子さんが登壇。山内道雄海士町長のあいさつへ移り、町長は「(以前はなかった)図書館が町にできて、子供たちが変わった。こども議会などで顕著にそれが分かる。文章・話し言葉が豊かになり、理路整然と対話をする力を身につけている。本を読むことで身に付けたものは大きい」と2010年に開館した同図書館の功績を高く評価した。

 続く基調講演でマイクを持ったのは、地元に根付いた図書館の在り方を求めて試行錯誤を繰り返したという磯谷さん。「海士町中央図書館の冒険」と題し、文字通り冒険ともいえる手法でよくある図書館「らしさ」を打ち砕いた取り組みを披露した。

 取り組みで主眼とした「島まるごと図書館構想」では、学校や公民館、フェリーターミナルなど町内の人の集まるところに書架を開き、2週間ごとに本を入れ替えて回るなど人力による「アナログネットワーク」を重視していたと説明。読書の習慣がない人にも本へ触れてほしいという思いから、町健康福祉課が各区の公民館で行う健康相談に合わせたスケジュールで本を箱に詰めて持参していたことや、移動図書館の開設などのエピソードを振り返った。自らの活動を磯谷さんは「小さいからこそできる、柔軟な取り組み」と総括。参加者の多数がうなずく一幕もあった。

 基調講演を受けての事例報告では、年間300館以上の図書館を訪問して調査を重ねているという岡本さんが、有人離島の図書館設置率などの数値を披露。過疎高齢少子化という共通の課題に直面しつつある離島など地方の図書館が町づくりへ関わるヒントにしようと、熱心にメモを取る参加者もあった。

 休憩を挟んだプログラムでは、「島で暮らす人々と情報環境について」をテーマに4人がディスカッション。地元・海士町の教育現場に携わる立場から阿部裕志さん(巡の環)と的場陽子さん(隠岐國学習センター)の2人が、岡本さん・鎌倉さんと意見を交わした。閉会では、平木千秋図書館長がサミットの終了を宣言。予定を30分ほどオーバーし、全プログラムを終えた。

 同じ会場で行われた懇親会では、山内町長の音頭のもと同町の水とコメで醸した銘酒「承久の宴」などで全員が乾杯。旬を迎えたブランドがき「いわがき春香」などに舌鼓を打ちながら、親交を深めた。今回で5ないし6回目の来訪になるという岡本さんは「教育、情報交換、コミュニティーなど場所として多面性を持つ同図書館には、島外から人を集める力もある。こうした魅力は新しい観光資源としても注目度を高めていくのではないか」と話していた。

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